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第1話 ~ 古来征戦幾人帰 ~

「あ、いらっしゃいませ~、いつもありがとうございます!ジュネ、4番テーブルにお通しして~!」

ここはラスパルマスの港そばにある「かなりあ亭」という酒場。酒場とは言っても船乗りに必要なものも売っている。店の横にある倉庫には手桶や予備帆、消化砂といったものが積まれており、船長の指示の元、下っ端船員どもがひっきりなしに運び出したりしている。

ラスパルマスと言えば、泣く子も黙るイスパニア国籍の海賊が跋扈する海域のど真ん中に位置する言わば「海賊の根城」。そして彼らを追う各国の海軍もこの港を寄港地として訪れる。その一方で、元々栄えていた交易所は寂れて久しい。この港の産物は砂糖。北にあるポルトガルの開拓地マディラの港が治安もよく安全な今となっては、商人たちにとっては恐怖の対象でありこそすれ、あまり魅力の無い単なる島に過ぎないようだ。そのためか、ここ「かなりあ亭」も…。

「おぃ、ラム酒足んねぇぞ!きりこちゃんよぉ、しっかりしてくれや!ガハハハハ」
「あ、てめぇ!イカサマしやがったなぁ!?」
「何言ってやがる、弟分から散々巻き上げておいてよぉ?」
「あにきぃ、おいらのメシ取らないで下さいよ。兄貴の分、ちゃんとあるでしょう…。」
「ぐへへ、よー!ねーちゃん!こんなとこで何一人で気取ってんだよぉ?ちょっとこっちに…グハ!やりやがったなぁ?!」
「てめぇら、喧嘩は外でやりやがれ!」
「ウホッ!いい男!」
「や ら な い か」
「てめぇら、お楽しみも向こうでやれ!」

とまぁ、非常に荒々しい雰囲気に満ちているのが常である。不思議なことに、この荒くれども満杯のこの店を切り盛りしているのは、まだあどけなさが残る少女 なのだ。その小さい背中は巨大な刃物。あれを不相応にも片手で振り回して肉を切っている。叩き斬っている、の方が表現として正しいかもしれない。

そんな中、一人の仮面をつけた海賊が入ってきた。

「いやー、今日も儲かった儲かった!ルビーにサファイヤばっちり特盛いただいてきたよ。今日は俺の奢りだ!みんな楽しくやってくれ!」
「さすが、仮面の旦那ァ!噂通り、見た目も性根も太っ腹だぜ!」
「きりこちゃん、そんなわけでラム酒みんなに頼むよ。あと、俺には鳥の丸焼きも。ニンニク増量で。」
「あいあいさー!」

きりこやジュネ、ボーイたちによって、ラム酒が次々とお客に配られていく。
仮面の男がテノールの声で叫ぶ。

「死んだ仲間と、明日をも知れぬ命に!乾杯!」
「かんぱーーーい!!」

他のお客たちがラッパ飲みして騒ぐ中、入口近くに座っていたジュストコールの男だけは、奢りのラム酒の瓶に口さえつけず後ろに放り投げた。

「あの男は『仮面のホセ』…?ふん。暢気なもんだぜ…。」

腰のサーベルに手が伸びたその瞬間。

「お客さーん。サーベルのお手入れ?でも、ここじゃ止めて欲しいなー。」
ジュストコールの男の鼻先に何やら巨大な刃物が既に突きつけられる。店の主人のきりこだ。さっきまで背負っていた不相応な刃物。どうやら、これが正しい使い方のようだ。店の中が凍りつく。
「お嬢ちゃん…?俺を誰だと…。」
「かんけーありませーん。ここじゃ店主のあたしがルール。あなた、見たところイングランドの海軍さん?」
「そうだが…。あんたは…。」
「はい、同朋ですよ。海軍さん。」

相手は小娘とはいえ、逆らったところで確実に斬られることを悟った海軍の男はサーベルを握ろうとした手を下ろす。それを見たきりこも巨大な刃物を引っ込める。終わったと同時に、店に元の喧騒が戻ってくる。

「何故、他国人の、しかも海賊の肩を持つ?そして、ここは…。」
「海に出ているあなたならわかるでしょ。海の上ではみんな明日をも知れぬ命。海軍さんも海賊さんも、あたしたちも一緒よ。せめて、ここだけでは仲良くとは言わないけど、命の心配いらない時間を過ごすのもいいんじゃない?」
「ふん。あんたにゃ恨みがわからんようだな。」
「わかるよ。」

きりこは即答し、ちょっとだけ顔を曇らせた。

「だって、こんなとこで商売してるんだもん。いろいろあったけど、結局自分の意志でね。ただ、海の上のことは海の上で。海の男らしく、その方がいいでしょ。」

きりこは放り投げられていたラム酒の瓶を拾って、努めてにこやかに海軍の男に渡した。
海軍の男はサーベルをテーブルの上に置いた。渡されたラム酒を不機嫌そうに一口流し込むと、奥でやんややんや騒いでいる仮面のホセの前に立ってこう言った。

「貴殿が我らが英国の商船を立て続けに襲った『仮面のホセ』か。ここの流儀に従い、今は手出しはしない…。だが、海の上では御覚悟戴こう…。」

仮面のホセは一つうなづくと、海軍の男は自席に戻り何事もなかったようにラム酒を胃の中に流し込んだ。

きりこはそれを見届けると、巨大な刃物を手にひっきりなしに注文が舞い込む厨房へと戻っていった。



そんないつ終わるか知れぬ海賊と海軍が入り乱れた饗宴であったが。

「はいは~い!今日はこれで看板で~す!」

とフライパンとおたまをじゃんじゃん鳴らしながら、きりこが閉店を告げる。ぐでんぐでんになった明日をも知れない男たちはそれぞれの船へと戻っていった。
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