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第2話 ~Practice makes perfect.~

「暇ですねぃ」
「暇ね~…」

無精ヒゲの男とツインテールの少女きりこは、『かなりあ亭』のカウンターにもたれ掛かって退屈そうに呟いた。
周りに客は…いない。昨日からずっとだ。
別段港が海賊や海軍に封鎖されている訳でもなく、かと言って嵐が吹き荒れている訳でもない。
ただ単純に、船が来ないのだ。 無精ヒゲの男はきりこに話し掛けた。

「そういや、師匠。」
「ん?なによー?」
「師匠って、最近ちゃんと縫製やってます?」
「う…。一応…。」

少女を師匠と呼ぶこの男の名は同じ商会に属するオルタネート。彼は『かなりあ亭』に弟子入りして一緒に商売をしている。

「師匠、お料理もいいですけどね、ちゃんと機織もやっておかないと腕落ちますよ。」
「うん、仰る通りなんだけど…。予備帆は普段から作るけど、フランネルはたまに織るくらいだし…。」
「フランネルか~。ちょうどいいことに、今羊毛をスクーナー一隻分…」
「ちょ!!」
「冗談ですよ。」

オルタネートは冷めた紅茶を啜る。真顔で師匠をこうやってからかうのが彼の楽しみだ。

「冗談きついよ!」
「暇つぶしに、何か簡単な服でも作ってみますか?」
「ほぇ?」

そう言うと、オルタネートは一冊の本をきりこの前に広げた。随分と書き込みがしてある。

「ダブリエドレスです。普段着みたいなものですし、そんなに難しいものじゃありませんよ。作ってみませんか。」
「あたし、服なんて作ったことないよ。」
「大丈夫ですって。わかんないとこは手伝いますよ。さ、んじゃ生地を…。えーと…。」
「ちょ!店の中にそんなもんないよー!」
「どうせ暇つぶしですからね。何かあるでしょ。」

ゴソゴソと店の中を探し回る。船員も船の中を探し回る。

「おー、あるじゃないですか、こんなに。」
「……何か忘れてたようなものばっかり。意外とあるもんねぇ…。」

綿のテーブルクロスに予備のシーツ。
海水を被って売り物にならなくなったオランダ更科。
船の倉庫の奥から出てきた皮革。
余った麻布と羊毛。

「んじゃ、まず型紙でも作りましょうか。師匠、ちょっと失礼。」

オルタネートは慣れた手つきで採寸をして紙に布地の型を起こしていく。服飾については教練書の斜め読みすらしていないきりこにとっては何やら魔法のようにしか見えない。

「師匠、型紙通りに布地を切ってくださいね。これはこの布、んでこれはこっちの。」
「オルたん、ふにゃふにゃでこれ意外と難しい…。せかさないでよ…。」
「肉を切るのも布を切るのも一緒でしょう。」
「んなわけないでしょ!」
「冗談ですよ。その間糸でも紡いでますから、ごゆっくり。」

『かなりあ亭』は洋服工房と化していた。

「へー、服ってこんないっぱいのパーツからできてるのねー。組み合わさって一つの作品になるんだー。」
「ですよ。何でもだいたいこんな感じですね。」

当たり前のことを新鮮に感じる。初めてやることは大概そうである。

「んじゃ、今度は縫い合わせですよ。気をつけてくださいね。ブーツの修繕で針仕事はやってるとは思いますけど、生地の厚さと針の細さが違いますからね。下手すると、自分の手まで縫っちゃいますから。」
「…んなことあるかって、痛!」
「ほーら、ちゃんとよく見てしないと、危ないですよ。んじゃ、私は向こうでエプロンのとこでも縫ってますかね。」
「あー、ちょっと向こう行かないでえ!」

いつしか、あんなに高かった太陽も既に沈み、あたりは闇夜に包まれている。

「あとは、はみ出た糸を切って…と。ほい、できた。」
「おおおお!初めて服作った!すごおおおおい!」
「初めてにしては上出来ですよ。」
「早速、着替えてくる!」

初めて自分で作った真新しいダブリエドレスに着替えて、きりこは上機嫌である。くるくる回ったりぴょんぴょん跳ねたりしている。

「見事にぴったりだし!今日はこれでお客さん迎えようかな~!」
「ですね。みんなびっくりすると思いますよ。」
「ねー、ちょっとその本、よく見せてよー。」
「いいですよ、ほい。」

ダブリエドレスのページの書き込みを丹念に眺める。

「ふーん、いろいろ工夫を加えてるのねー…。」
「教練書に載っているのはあくまで基本形ですからね。あとは応用利かせないと。」
「応用を利かせるか…。お料理もお洋服も一緒なのね~。」

カランカランと音が鳴りドアが開いた。

「よー!きりこちゃーん!うまいの一つ頼むぜ!」
「あ!ごめんなさーい!今片付けますね!オルたん、悪いけど急いで手伝って!」
「はいよー。」

と、余った布切れや鋏やらを足元の箱に入れて持ち上げようと、腰を下ろした瞬間。

…プチ…!プチプチプチ…。

縫い付けが不十分だったスカートの腰の部分がほつれて破れた。

「きりこちゃん!後ろ!後ろ!!」
「え?!きゃーーーーーー!!!破れてる?!何で?!!!?!」
「ししょー!どしたん?!」
「きゃー!!!見るなーーーーー!あっちいってえええええええ!!!」

スカートの裂け目を押さえながら、きりこは顔を真っ赤にして逃げるように厨房の奥隅っこへと駆け込んでいった。
その様子に、残されたオルタネートとお客は、ただぼーぜんとする他なかった。

そして、臨時休業の札が『かなりあ亭』に掛けられた。

「ぐすん…。」
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コメント

お裁縫((;゚Д゚)ガクガクブルブル

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